2014年05月16日

縁側

実家には日のよく当たる縁側があって、天気のよい日には祖母がそこで
針仕事をしていたものです。たいてい白い猫もいっしょにいて、
仰向けになってだらしなく伸びていた。祖母はときどき糸の先を少し舐めて、
細い針穴に通します。針穴に通せないときはぼくに頼む。
ぼくはそれを待っていた。

小刻みに交互に動かされた右手と左手が、端切れの布と布とを
器用に縫い合わせてゆきます。差し込む光に、解(ほつ)れた布の
繊維一本一本が照らし出されていました。暖かかった。
祖母が片眼しか見えていないと聞いたのは、ずっと後のことでした。

じっと見つめているぼくを気にするそぶりもなく、祖母はもくもくと、
家族の布団やら服やらを作り上げていきました。ぼくは祖母の針仕事を
見るのが好きだった。そこでぼくは多くを学んだのだ、といつか言ってみたい。


posted by pilz at 07:01| 京都 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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