2015年01月02日

南原繁『国家と宗教―ヨーロッパ精神史の研究―』

「南原繁」を知るひとは少ないだろうけど、ぼくのなかでは名著。
ぼくが名著というのは、こちらの思考をどこまでも刺激してくるものなの
だけど、もうひとつ必要なことがあって、それは、「わかっている」
「知っている」「すでに解けている」「もう済んでいる」といった類いの
こちらの思い上がり、独断を木っ端みじんにしてくれるような本のこと。

学生時代にこれを読んだときには、南原の哲学の知識がすごくて、
そのころのぼくはカントの考察で自分よりもできる政治学者なんておるまい、
と高をくくっていたので、これを読んで、心底、南原に怯(おび)えた。
おもえば、高名な学者を相手にして、思い上がりもいいとこなんだけど、
若気の至りとお許しください、どこかすがすがしいぐらいの思い上がり
でしょ?と、あまり反省の色もなくどこかに向かって頭を下げる。

そしてもうひとつこの本の好きなところをあげれば、
理性論によって平和の可能性をぎりぎりのところまで考えていること。
勉強不足を盾や矛にして人間の理性をあげつらうことは誰にでもできるけど、
そういう平和の可能性をプラトンからドイツ観念論ぐらいまでを参考にして
誠実に考察していて、ぼくは、南原さんというのは立派な方だと思った。

けっきょく本を好きになるというのは、少なくともぼくにとっては、
著者を好きになることなのだろう。この本が岩波文庫に収録されていたことは、
先日知った。これを来年度、ゼミで読むテキストにしておけばよかった‥‥
(残念ですが、この本をまったく哲学の知識のないひとが独力で読むのは
難しいと思います。誰かいっしょにこの本、読みませんか?)
posted by pilz at 22:14| 京都 ☀| Comment(0) | 好きな本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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